2012年2月4日土曜日

食品中の放射性物質に係る基準値の設定(パブリックコメント)

基準値の引き下げ自体は歓迎すべき方向ですが今回の案でも高すぎますし、現行の暫
定規制値の決定の経緯も含め根本的に考え方を転換して頂く必要があると考えます。
まず、放射線の健康影響について閾値の存在が確立していない以上、「暫定規制値に
適合している食品については、健康への影響はないと一般的に評価され、安全性は確
保されている」との認識がそもそも誤っています。事故の責任者である東京電力、お
よび国には放射能汚染を事故前の水準に回復する責任があることが、まずあらゆる議
論の出発点であるべきです。その上で、短期間での汚染の除去が不可能である現実を
踏まえて、どの程度のリスクを国民が受忍する必要があるか、が基準値制定の意味で
あるはずです。

基準値を高くすることは、消費者だけではなく、決して生産者の利益にもなりませ
ん。基準値が高い、あるいは不十分な規制体制は汚染地域(あるいは日本全体)にお
いて生産される食品に対する信頼を低下させ、市場価格も低下します。これは現に起
きていることです。全量検査が不可能である以上、設定した基準値を上回るおそれの
ある地域での生産自体を規制し、それに対する十分な補償を行うことが必要です。こ
の前提に立って、補償が可能な限り、基準値をできるだけ低く設定することが日本の
一次産業を守るためにも必要だと考えます。