概要:
原子力発電所が2030年に占める発電量の割合を議論する前に、全ての原子力発電所の運転を停止・凍結するべきである。意見:
福島第一原子力発電所の事故により広大な地域が放射能に汚染され、それまでに流布された「日本の原発は安全である」という説は完全に崩壊した。どのような事業にもリスクやデメリットはあるが、事業者には損害を補償する責任がある。原子力発電は、民間企業の営利事業として行われていながら、いったん事故が起きると事業者にはその補償がカバーできず国家が介在する必要があることが明るみにでた。さらに、今回の事故では、国家の「支援」があっても十分な補償には程遠い現状である。少なくとも、一般公衆の被曝限度年間1mSvを超えた地域に関しては、除染あるいは避難・移住に関するコストは完全に補償される必要がある。また、原子力発電所の運転にあたっては、そのような補償を担保する保険等が必要である。それがない状態では、原子力発電所の運転は経済的な合理性を欠く。
電力需給に関しては、少なくとも短期的には原子力発電なしでもほぼ問題ないことが今夏の状況より明らかである。なお不足の懸念があれば、火力発電所を緊急に増設すればよい。化石燃料の枯渇あるいは価格高騰、また地球温暖化問題は中長期的課題であるが、これを理由に安全性や補償体制に不備のある発電方式を正当化することはできない。