「我孫子の子どもたちを放射能汚染から守る会」の要望書について
平成23年 10月27日
我孫子市長 星野 順一郎 様
我孫子市教育長 中村 準 様
東京大学物性研究所 教授
押川正毅
学術研究に携わる者として、また地域住民の一人として、標記要望書に賛同致します。
福島第一原子力発電所事故以来、少なからぬ「専門家」や「科学者」が「この程度の放射能汚染による健康被害は無視できる(ので対策の必要はない)」という言説を述べており、政府や地方自治体の政策に影響を与えています。しかし、以下に述べるように、それらは全く道理の無いものです。標記要望書は、放射能汚染にみまわれた地域の自治体の行うべき施策のスタートラインを示したものであり、決して過大なものではありません。住民の健康と幸福を守るために、何卒ご高配をお願いいたします。
・放射線被曝の健康への影響については、明確な閾値(これ以下の被曝であれば無害であるという値)は存在せず、被曝線量に比例したリスクがあるという理解が標準的であり、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告もそれに則ったものになっています。
・このことから、被曝量は合理的に達成可能な限りできる限り低く(As Low As Reasonably Achievable = ALARA)することが原則とされています。
・従って、いかなる基準も、「これ以下は安全である」というものではあり得ず、「この程度のリスクは甘受しよう」というものでしかありません。このような判断は科学者や専門家が勝手に行うべきものではなく、最終的には主権者である国民、あるいは住民が行うべきものです。
・一つの目安として、ICRP勧告では、医療被曝を除いた人工的な放射線による一般公衆の被曝限度は年間1mSvとされており、日本の法律(「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」(1960年9月30日総理府令第56号・最終改正2009年10月9日文部科学省例第33号)及び「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」(2000年科学技術庁告示第5号・最終改正2006年12月26日文部科学省告示第154号)にも規定されています。
・従って、本来は最悪でも外部被曝・内部被曝の合計で年間1mSv以下とすべきであり、外部被曝のみで年間1mSvを目標とする除染計画も出発点にすぎません。
・「原発事故後の緊急事態なので被曝限度を上げても良い」という言説もよく見られますが、過失のない住民(特に幼児・児童)の健康リスクが高まっている現状を放置することを正当化できる論理はありません。
・ICRP勧告にも、現存被曝状況での参考レベルは年間1mSv~20mSvのうちなるべく低い値に設定すること、参考レベルの設定も含めあらゆる判断は正当化されなくてはならないことが明記されています。「被曝量が◯◯mSvなので問題はない」と専門家や政治家が根拠の乏しい判断を行うことはICRP勧告にも反しています。標記要望書にもあるように、住民も参加した議論のもとで、被曝量を可能な限り低減する施策を行うべきです。
・国が原発事故後に設定した基準や施策に従うだけで良しとするのは、ALARA原則にも反しており、また地方自治の精神にも悖るものです。また、現状の国の施策は国が定めた法律にも反していることが多く、住民との対話に基づいて具体的対応を進めるとともに、国に不備を訴えていくことこそ自治体の使命であると考えます。
このたびは、大変お忙しい中、私たち「我孫子の子どもたちを放射能汚染から守る会」のために、賛同文を書いていただき誠にありがとうございました!
返信削除心ある賛同文をいただき、読んで涙いたしました。
こういうふうに専門家に言っていただきたかったのです。
心より感謝申し上げます。
事後承諾で申し訳ございませんが、下記にリンクさせていただきました。
http://ameblo.jp/kiowanai-seikatu/entry-11062924192.html
これからも未曾有の原発事故から日本の子どもたちを守るため、お力を貸していただきたく、よろしくお願い申し上げます!